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7月全校朝会 & 校長コラム

7月全校朝会 & 校長コラム

7月5日(水)

今月の全校朝会を行いました。

生徒会長から「1学期もあと10日です」と話がありました。生徒会各専門部の活動反省と今月の目標なども、各専門委員長から話がありました。実に堂々と、実によどみなく、全校朝会を取り仕切っています。学校では、後期の生徒会選挙が動き出しています。前期専門委員会が創ってきたこのいい流れの波に後期生徒会も乗って頑張ってもらいたいなと思います。

「霧のなかを行けば 覚えざるに 衣湿る(禅語)」

ジメジメ、ムシムシした日が続いています。そんな気候にあわせた…わけではありませんが、今日はこの霧にまつわる禅語を取り上げて、子供たちに話をしました。

ここでいう霧は「学校の雰囲気」です。「あいさつ・言葉遣い」「マナー・ルール」「やさしさ・思いやり」…どれも手に握って渡したり見せたりできないものです。霧のように西中生の周りに、校舎や教室に、体育館やグラウンドに、通学路や地域の街角に漂っています。「周りの人を大事にしよう」「ルールとマナーを守って、みんなが過ごしやすい学校や社会を創ろう」と考えて、行動しようとする「霧」に包まれているといいなと思います。(朝会での話はここまでです)

コラム「沈黙」という霧

「沈黙」というと遠藤周作さんの迫害されるキリシタンを描いた作品があります。ここで紹介する「沈黙」は、村上春樹さんの短編作品です。

主人公が高校3年生の時に同級生が自殺。その原因は、主人公がいじめをしたからだといううわさが広がり、周りの同級生たちは主人公のことを無視し始めます。主人公は、高校を卒業し、もう何年も経っているのに、そのうわさが悪夢としてよみがえってくるのです。

これは冤罪を取り上げている話ではなく、「いじめをした」といううわさを無批判に受け入れて、そのまま信じて行動してしまうことの怖さが描かれています。このうわさは「覚えずに衣湿らす霧」になっていたんだと思います。「いじめをしたのはあの人だ」といううわさが霧のようにあたりに立ち込めてしまい、その霧以外のものは見えなくなっていたんだと思います。

いつの間にか「うわさ」という霧に包まれてしまったとしたら、どちらの方向に進んでいるのかわからなくなり、どんどん道に迷ってしまうことでしょう。霧は、何の責任も取らずに、いつの間にか消えていきます。どこで発生し、どこに消えていったのかもわかりません。「うわさ」は忘れ去られてしまいますが、苦しめられた人の心には、いつまでも重しのように沈んだままです。

確証のないうわさを鵜吞みにせず、自分の責任において判断することが大事…なのですが、子供たちには「思いやり・やさしさ」「あいさつ・言葉遣い」などの相手のことを慮る「心地よい霧」のなかで過ごしてもらいたいと思うと同時に、「心地よい霧」の発生源になってもらいたいと願います。

紹介した禅語には、続きがあります。「よき人に近づけば 覚えざるに よき人になるなり」

人格がまだ未完成な子供たちにとって身近な大人は、お家の方々であり、私たち学校の職員です。まずは、周りの大人が「よき人」であり、「よき霧」の発生源でなければいけないなと思います。