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9月の絵本図書館「なんでもない」&校長コラム

9月の絵本図書館「なんでもない」&校長コラム

9月1日(金)

今月の絵本図書館 「なんでもない」

以前、「とんでもない」という本を紹介しました。同じ作家さんの本です。

 

この絵本には、女の子とたくさんの動物が登場します。

相手の姿を見て、互いに「わたしはあんな姿にはなりたくないわ!」というのですが…

多様性や個性について考えることができる絵本です。

思わずクスッと笑ってしまう絵もたくさんあるので、ぜひ校長室前の絵本図書館をご利用ください。

この絵本を読んでいて、日田市の小学校に行ったときのことを思い出しました。

校門脇に、写真にある石碑が建っていました。

「『鋭きも 鈍きも ともに捨てがたき 錐(きり)と槌(つち)とに 使い分けなば』 広瀬淡窓いろは歌一首」 と刻まれていました。広瀬淡窓といえば、日田に私塾 咸宜園(かんぎえん)を開いたことで有名です。塾の理念は、一人一人の意思や個性を尊重することでした。その理念が、最も端的に表されている言葉が、この言葉だと思います。「鋭い」道具である錐は、小さな穴を開けたり、細かな細工をするときにはとても役に立つし、なければなりません。一方、「鈍器」として槌は、精密な作業には向かないけれど、大きな穴を開けたり、地面に杭を打ち込んだりするときには、なければならない道具です。病院では、小さくて鋭利なメスなどの道具がなければ、複雑で繊細な動きが求められる手術はできません。土木工事や建築作業などでは、ハンマーやつるはし⛏などの大きな力を加えることができる道具が必要です。重機と言われる、クレーン車やショベルカーなど大型機械もなければなりません。 私たちは、だれにも得意と不得意があります。時と場合によっては「強み」にもなるし、「弱み」にもなります。運動能力に優れていれば、スポーツの場面で活躍できるかもしれません。運動は苦手だけれど、複雑なことを考えたり、緻密な作業が求められたりする場面で活躍する人もいるでしょう。国語は得意だけど、理数系は苦手…など、私たち一人一人が持っている力は、錐の人もいれば、槌の人もいるんです。錐と槌がそれぞれの得意を活かして、学校では学習や行事、生徒会活動に取り組み、社会では大人たちが様々な仕事や事業に携わっています。「協働」という言葉で表されます。万能であることはできませんが、互いに得意なことを活かす中で、新しいものを創りだし、問題を解決し、困難を克服していけばいいのだと思います。 「大分西中学校人権宣言」は、錐も槌も大事にしよう!どちらも大事!みんなが大事!いなくてもいい人なんかいない!だれでもここにいていいんだよ!…ということを表しているのです。