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後輩に届け~「群青」~

後輩に届け~「群青」~

「群青」という合唱曲があります。ここ数年様々な場面で歌われている歌ですので、一度は聞いた方もいることでしょう。作詞は「福島県南相馬市立小高中学校平成24年度卒業生」作曲は同じ中学校の音楽の先生です。2011年3月11日、卒業式を終えた小高中学校を東日本大震災が襲いました。同校でも生徒4名の尊い命が奪われました。さらに追い打ちをかけるように原発問題が襲い、小高地区は避難を余儀なくされたのです。避難をした子どもたちは福島県というだけで白い目で見られ、深く傷ついていきました。こうして子どもたちの心は荒れ、学校も荒れていくのです。学校の授業では特に歌を歌わない、歌えないのです。そんな中、音楽の小田先生は子どもたちのつぶやきを歌詞にし、メロディーをつけたのです。こうしたドラマを経て誕生したのが合唱曲「群青」です。やがて子どもたちは「群青」を泣きながら歌いました。歌詞にこのような一節があります。【「またね」と手を振るけど、明日も会えるのかな。】【あたりまえが幸せと知った。】共に過ごした日々、友や先生方への感謝の思い。いろんな気持ちが交錯します。卒業式では歌えない3年生の合唱「群青」を今日、明野中学校を次に受け継ぐ2年生に届けました。中庭に集合した2年生、教室で合唱を披露する3年生。その姿は見えないけれど、懸命に生きた3年生の心はきっと届いたはず。卒業式本番は2年生に代わって、3年生の保護者の方々が中庭で聴きます。今日合唱を聴いた2年生、しっかりと明野中学校を引き継いでください。3年生安心して旅立ってください。温かい風が吹いた今日。「また会いましょう、群青の街で・・・」

文責 明中教頭 石井