学習公開・初等教育研修会
2月14日(土)、15日(日)に、2025年度の学習公開・初等教育研修会に参加しました。場所は、筑波大学付属小学校。全国からたくさんの先生が学びに来ていました。昇降口では、教室がわからない方は、児童が案内しますので声をかけてください、との声かけがありました。お言葉に甘えて待機していた児童に声かけすると、こちらですと教室まで案内してくれました。その道中、今日はどちらからいらしたのですか、と話しかけられて驚きました。と同時に、なるほどと思いました。知らない人と対話できるチャンスを逃さず、対話の実践の場として児童に提供していたのでした。6年生の児童と思いますが、しっかりしている印象を強く持ちました。このような実践を積み重ねれば、大きな学びにつながること、間違いありません。なぜ、学ぶのか、を改めて考えさせられもしました。テストで点をとるためではありません。社会で知らない人とでも対話するためではないでしょうか。
■1年生を対象とした生活科「1年生の哲学対話」の授業を参観して考えたこと
研究主題は、「熟議を基本にした民主的な教室空間を育てていくために、哲学対話の果たす役割を検討する」。授業成立の基盤は、教室空間と教材世界と考えれば、児童が安心して発言できたり、聞き合ったりできる教室空間の役割が大きいことに気づきます。教室空間では、教師が決まりやルールを決めるよりも、児童が民主的に決めることを重視するのがよさそうです。今、哲学対話の取組が注目されています。哲学対話の目的は、一人ひとりの生き方と社会のあり方をよりよくすることにあります。さて、今回の授業で、哲学対話が成立したのでしょうか。授業では、児童全員が発言できるように、6年生を送る会で行う劇の役割の決め方を課題とした対話が仕組まれていました。1年生の課題は、自分の発言はできても、人の話を聞くことが得意ではないこと。これは、1年生に限りません。野津原小学校でも、3年生くらいまでは、この課題があるように感じます。さて、人の話を聞けたのでしょうか。反応できたのでしょうか。授業で、先生は、ある児童の日記のコピーを全児童に配りました。そこには、自分はじゃんけんで負けたので、自分のしたかった役割ができないことが書かれていました。先生は、クラスに投げかけます。劇の役割をじゃんけんで決めてよいかという問いです。そして、みんなが楽しくなるようにするには、どのようにして役割を決めるのがよいかを、問いかけました。子どもたちから出た意見は、じゃんけん、オーディション、話合い。では、この中のどれがよいですかと、子どもたちに考えさせました。前の黒板にマグネットで自分の意見を表明していきます。ほとんどの児童は、オーディションを選択していました。一方、最初にじゃんけんを選択した児童はいませんでした。先生は、なぜ、それを選んだかをみんなの前で話してくださいとリクエスト。次々に手が挙がります。子どもたちからは、じゃんけんは不公平という意見が出ました。本当にそうでしょうか。じゃんけんはルールが全員に等しく適用されるため、極めて公平と考えられます。先生はファシリテータに徹して、訂正はしませんでした。6年生を楽しませるには劇で失敗してはだめなので、オーディションで上手な人を選べばよいとの意見が大勢を占めました。その意見に対して、でも、それだと、いつも同じ人が選ばれて、楽しくないと感じる人が出てくるという意見が出ました。ちなみに、ここでは、オーディションで選ばれることが公平かどうかの議論はされませんでした。その後、今回は6年生を楽しませるためにオーディションで決めることにして、次にそういう機会があれば、交代して別の人がすればよいという意見が出ました。たくさんの時間を使って対話をさせた後、授業の最後に、改めて3つの選択肢のどれを支持するかを考えさせました。多数派はオーディションで決めるということでしたが、交代するならじゃんけんでもよいのではないかという意見を言って、じゃんけんを選ぶ児童が複数人出現しました。話し合いという子どもも一定数いました。この授業を見ていて、先生は子どもたちの考えを導くことなく、交通整理に徹していること、子どもたちは安心して自由に発言していることがよくわかりました。まだ、1年生です。そう考えると、発言の量もさることながら、発言の質も高いと感じました。また、他の人の意見を聞いたうえで、自分の意見を言うことも、完全ではないにしてもできていました。それにも、感心しました。では、どうすれば、このような子どもたちを育成できるのでしょうか。一朝一夕にできるのものではありません。4月の入学当初から、地道に育成されてきたのだと思います。具体的には、朝の会のスピーチや毎日の日記など、それを題材にした教室内の話や、先生が交通整理をし過ぎない姿勢、出された意見を否定しない態度など、安心して発言できる教室空間を、本当に地道に地道に形成されてきたのでしょう。これに加えて、対話の題材選びも重要と感じました。全員が発言できる課題、さらに言えばこれまでの経験も踏まえて発言できる課題を選ぶことが肝要です。必要であれば、事前にインプットしたり、調べ学習をする機会を与えてもいいかもしれません。野津原小学校においても、安心して発言できる教室空間づくりを進めていきたいと、強く思った次第です。