【校長コラム No.34 上限】
生成AIの進歩には目を見張るものがあります。自分で文書を作成するにはそれなりの時間を要しますが、生成AIを相棒に文書を作成すると、驚くほど短い時間で完成します。もちろん、人が責任を持って、冗長な表現を削ったり、適切でない言葉を修正したりします。ただ、生成AIには非常に大きな落とし穴があるので、注意が必要です。それは、画面に突然現れる「上限に達しました」という冷徹なメッセージ。「今日は、もうあなたのために働くことはできません」という事実上の終了宣言。提出締切の前日にこのメッセージを目にすると、思わず卒倒しそうになります。締切のある仕事には余裕を持って取り組みなさいという教訓になります。ただ、この一見冷徹に見えるメッセージは、働き方改革に一石を投じるメッセージになり得ます。「私の今日の仕事量は上限に達したので、帰宅します。」やるべきことが終わったから仕事を終えるのではなく、時間が来たから仕事を終える、でよいのです。この「やるべきこと」は、やっかいです。100%にならないと気が済まない人もいれば、80%でよしとする人もいます。時間と体力が無限であれば、自分が納得するまでやり続けてもよいのですが、時間と体力は有限です。人には時間と体力に「上限」があるのです。限られた時間の中で仕事をすることを意識し、優先順位を見極め、時間配分を適切に判断する力を磨く。限られた時間の中でも責任をもって仕事をやり遂げるには、こういうことが必要なのです。AIが示してくれたシステム的な上限は、実は、人にスマートな働き方を示唆してくれていたのです。AIの気持ちを深読みし過ぎでしょうか。