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変わるきっかけは、誰にもわからない

変わるきっかけは、誰にもわからない

 本校を今春巣立ち県外の中学へ進学したAさんが、夏休みに担任に会いにやってきた。久しぶりに会ったAさんは、私に会うなり「僕、中学で頑張っています。剣道部に入りました。」とはっきりした声で言葉を発した。驚きつつも「そうかあ。頑張っているんだね。」と頭の中が一瞬プチパニックになった。というのも、Aさんとの出会いはAさんが小学校6年生の時。自分の思いを言葉で伝えることが苦手で、担任とも絵カードで気持ちをやりとりする日々を送っていた。校長室のドアをノックすることも難しくて、少しずつ少しずつ挨拶から始め、名前を言えるようになり、そして、内容を伝えられるようになった。しかし、それ以上は、Aさんとの会話は難しく、私も強要しなかった。少しずつ私との関係性に慣れてきたこともあって、私が冗談を言うと、声を出さずに笑い、それがまた私も嬉しかった。担任もAさんのペースにあわせながら見守り、毎日校長室に立ち寄らせ、Aさんの将来を見据えた人とのかかわりを大切にした指導を行っていた。そのAさんが、自らはっきりした声で私に近況を伝えた・・・。Aさんにたずねてみた。「どうして、そんなに話せるようになったの?」すると、Aさんはこう答えた。「豊府小学校のおかげです。そして、今の中学校のおかげです。中学校、楽しいです!」グッと熱いものが込み上げてきた。帰り際、「じゃあ、失礼します!!」誰よりも大きな声であいさつをし、学校を後にした。職員室ではしばらく先生方の興奮がおさまらなかった。「よかったね。」「すごいね。」担任の目にも、光るものがあった。Aさん、ずっと応援しているよ。